目次
脱毛症の種類
脱毛症と呼ばれるものには、以下のような種類があります。すべてがAGAではないので必ず医師の診断を受けてください。以下、代表的な脱毛症の分類です。
男性型脱毛症(Androgenetic Alopecia:AGA)
男性ホルモンなどが主な原因で、軟毛化(毛の数は変わらなくても、太く長い毛が再生せず、細く短い毛に置き換わる)が進み、薄毛になる状態です。
軟毛化は、ヘアサイクルの成長期が短縮され、毛根が小さくなってしまうことによって起こります。早い人では20歳代前半から始まります。ただ、男性が誰でも若くして薄毛になるわけではなく、遺伝的な素質に加え、ストレス、食事、生活習慣などの影響も大きいと考えられます。なお、男性ホルモンは、髪は薄くする方向にはたらきますが、ひげや陰毛などは濃くする(硬毛化)方向にはたらくと考えられています。
- 脱毛の進行パターン
- 脱毛は前頭部または頭頂部から起こることが多く、額の生え際から後退していくタイプ、頭頂部から薄くなるタイプ、これらの混合タイプなど様々な進行パターンがあります。
- 発症の兆候
- 頭皮や顔が脂っぽい、毛が細く柔らかい、細くて短い抜け毛が目立つ、といった兆候があると、男性型脱毛症(AGA)/壮年性脱毛症になりやすいといわれています。
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びまん性脱毛症~女性の薄毛の主な原因~
びまん性とは、広い範囲に広がるという意味です。びまん性脱毛症は中年以降の女性に多く、女性の薄毛の主な原因になっています。
男性型の脱毛症と違い、頭髪全体が均等に薄くなります。
加齢、ストレス、過度なダイエット、間違ったヘアケア、ホルモンバランスの乱れなどによって、ヘアサイクルの成長期が短縮し、軟毛化します。
びまん性脱毛症には、大きく分けて2つのタイプがあります。
①FAGA 女性の男性型脱毛症
薄毛に悩む女性の約半数が、このタイプだといわれています。FAGA(女性の男性型脱毛症)は、加齢により女性ホルモンが減少し、相対的に男性ホルモンが優位となったホルモンバランスに起因するといわれています。
女性の場合は男性型の要因とされるホルモンの影響以外にも複数の要因が関係していることがあるといわれています。
通常は、生え際から後頭部にかけて抜け毛が増え、同時に毛髪が軟毛化。地肌が透けて見えるようになります。また、特定の部位ではなく、全体的に脱毛が進むことも珍しくないようです。
②休止期脱毛症 全体の毛髪が少なくなる、女性特有の脱毛症
休止期脱毛症は、ヘアサイクル上で、通常は休止期(古い髪が抜け落ちる期間)にある10%の毛髪が、20%ほどに増えることで起こります。FAGAのように短い軟毛ではなく、長い硬毛が頭部全体から脱毛するのが特徴です。
こちらも特定の原因は解明されていませんが、精神的ストレスや疲労、過度のダイエット、加齢、甲状腺疾患や貧血、常備薬による副作用などが要因ではないかといわれています。
検査・診断
病歴と頭皮の診断により確定いたします。
治療
「FAGA」も「休止期脱毛症」においても、原因が特性されていないため、決定的な対策が明確ではありません。しかし、ストレスをためないこと、バランスのいい食事を摂ること、良質な睡眠を取ることなど、生活習慣を見直すことで改善する場合があるといわれています。
具体的には、ストレスを溜めこまないよう気分転換できる趣味を持つのもよいことです。
また、バランスのいい食事で、髪の毛によいとされるタンパク質、亜鉛、ビタミンはもちろんのこと、十分な栄養を補給することも大事です。
さらに、髪にとっては、睡眠も非常に大事なことです。
肌と同様に髪は夜10時~深夜2時頃が活発に作られやすい時間とされていますが、その時間帯にリラックスしていることが重要です。
なるべく夜更かしせず、早目の就寝を心がけましょう。
生活習慣の改善、頭皮環境の改善でも変化がみられない時は、ミノキシジル、亜鉛、ミネラルなどの医薬品の内服とミノキシジル、成長因子の外用治療が効果的です。
分娩後脱毛
ホルモンバランスの乱れから分娩後の女性に脱毛が起こることがあります。
円形脱毛症
コインのように円形状に毛が抜け落ちます。多発して頭全体の毛が抜けることや、全身の毛が抜ける場合もあります。
ストレスが引き金になることもありますが、自己免疫によるものと考えられています。
症状
円形脱毛症は、10円玉ぐらいの大きさの脱毛が突然現れてくるのが特徴です。脱毛の症状が見られても、かゆみやフケといった症状はとくにないため、初期の段階では本人が円形脱毛症になっていることに気が付かないケースもあります。病気が進むと、最初にできた脱毛と同じような症状が、頭皮のあちらこちらに現れてきます。
そのまま治療をせずに症状が進行してしまった場合には、脱毛の部分が頭皮全体に広がってしまうため、他の病気と見分けがつきにくくなってしまうのが厄介なところです。
円形脱毛症は精神的なストレスとの関係が深いと考えられており、治療をするときにはストレスの原因究明やコントロールも1つの課題です。また、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患との関係も指摘されているため、改善したいときには皮膚科医に相談するのが妥当な方法になるでしょう。
診断
病歴と頭頂部の診断で確定します。
治療
ストレスコントロールがメインです。アレルギーを抑える薬などを症状に合わせて使い分けます。
自己免疫疾患との関連も指摘されていることから、さまざまな方向から原因や治療法を考える必要がある病気です。円形脱毛症は子供や女性にも多く、年齢や性別にかかわらず発生する可能性があります。ミノキシジル、亜鉛、ミネラルなどの医薬品の内服とミノキシジル、成長因子の外用治療が効果的です。
粃糠(ひこう)性脱毛症(脂漏性脱毛症)
皮脂分泌の異常が原因で起こる脱毛症。粃糠が増え、感染や炎症が起きて毛根の活動が悪くなり、脱毛します。
粃糠(ひこう)とは、粃(しいな、実のないもみ)や糠(ぬか)のように役に立たないもの、という意味で、いわゆるフケです。
頭皮のベタつきや湿疹、かゆみなどに伴って抜け毛が増えてくるのが1つの特徴です。
原因
間違ったヘアケアやホルモンバランスの乱れ、食生活や生活習慣の乱れなどです。
症状
この脱毛症になると皮脂が異常に増え、頭皮環境が悪化して毛が抜けるようになります。炎症が生じるだけでなく、皮脂によって毛穴も塞がれてしまうことから、健康な髪が育ちにくくなってしまうのも抜け毛が増える一因です。
頭皮がかゆいと、無意識のうちに自分で頭をかいてしまうこともありますよね。頭皮にひっかき傷などができると、傷口から細菌感染を起こしてしまう可能性があるため注意が必要です。
検査・診断
かゆみなどの症状と頭皮の診断により確定いたします。
治療
ヘアケアの見直しと、原因の1つになるホルモンバランスの乱れはストレスによっても引き起こされますので、これから改善したい場合はストレスをコントロールするのも対策になります。
抜毛症(トリコチロマニア)
抜毛癖とはトリコチロマニアとも呼ばれる、1889年にフランスの皮膚科医 Hallopeauによって名づけられた精神的疾患です。抑えきれない衝動により、自らの毛髪を引き抜くことで脱毛を作ります。そのため、毛髪自体の病気ではなく、抜毛行為を止めれば発毛します。小学生から中学生の学童期の発症が多く、性差は女性に多いとされています。一種の癖であるため、脱毛に対して治療を行う必要はありませんが、一方で何らかの脱毛症と間違われ治療されることがあり注意を要します。
原因
家族・友人・学校関係におけるストレスが原因と指摘する報告が多くあります。
症状
抜毛による脱毛は頭毛に最も多いですが、眉毛・睫毛などでもみられます。円形脱毛症と異なり、脱毛斑の境界は不鮮明で、形も円形だけではなく様々な形を呈します。円形脱毛症のように完全脱毛斑とはならず、抜毛によって切られた毛が不規則に残ることが多いです。
検査・診断
不自然・不完全な脱毛部の状態を観察することで、診断は可能です。抜毛行為は緊張場面でよく起こるため、勉強机のそばなどに多く毛が認められ、枕やブラシなどには毛が付着していないこともポイントです。抜毛が無意識に行われ、本人や家族が抜毛を認めないことも多いです。
治療
精神的ストレスを我慢し、それから逃避することで抜毛行為に至るため、抜毛癖ではストレスの原因を解明改善が最も大切です。治療に苦慮する場合には、精神科医に相談する必要があります。
隠れた病気があることも
上記のような脱毛症以外にも、甲状腺機能亢進症、膠原病などの自己免疫疾患による脱毛、
栄養・代謝障害、ヘルペスウイルスや真菌、ブドウ球菌、梅毒などに感染した場合も、人によっては抜け毛が見られます。
抗がん剤などの薬剤や放射線治療を使用した際の副作用により脱毛が起こることもあります。
脱毛症に対して必ず医師の診断をお願いします
最近は個人で判断し、個人輸入で内服をし、動機やむくみの副作用でお困りの患者さんなどいらっしゃいます。
個人輸入はだれも安全性を保障してくれないどころか、ご自身の薄毛がAGAによるものかもわかりません。
健康はなによりも財産ですので、
病院で必ず診断を受け、血圧のチェック、血液検査による全身の機能を確認し、副作用を抑えた正しい治療を受けてください。